Jul 3, 2010

Can we share our universe?

フランツ・カフカが友人に宛てた手紙より。
「ぼくは、自分を咬んだり刺したりするような
 本を読むべきだと思う。
 本とは、ぼくらの内の
 氷結した海を砕く斧でなければならない。」

〜この言葉は私の書く本を、
 正確に定義づけています。(村上春樹)〜

彼がフランツ・カフカ賞を受賞した時に、
スピーチで言った言葉。

最近、とにかくよく本を読む。
そして、とにかく本を贈られる。
母方の祖母が、
小さな街で唯一の小さな本屋を経営していたためか、
両親が二人揃って読書家だったためか、
小さい頃から海外の童話全集を始め、
常に周りに本が溢れていた。
家には図書館と言われる本だけの部屋が2部屋ある。
(1部屋は物置代わりかも・・・)
それでもやっぱり、
自ら読書がオモシロいと感じたのは、
思春期を過ぎた10代の終わり頃。
高校生の夏休みにハマっていたのは、
いわゆる教科書に出て来るような文学達。
夏目漱石『三四郎』『それから』『門』の3部作。
王道的な、太宰治の『人間失格』『晩年』。
三島由紀夫の『仮面の告白』『金閣寺』。
そして、
常に偏った自分好みのチョイスのみ。
今思えば簡単でスッと入り込んできたエッセイなど。
辻仁成『そこに僕はいた』
中島らも『僕が踏んだ町と僕に踏まれた町』
大槻ケンジ『グミ・チョコレート・パイン』
などは、兄の影響でハマって、
自分の青春と重ね合わせたりした。
町田康の『きれぎれ』は、
初めて一人で行ったヨーロッパ旅行の帰りの機内で読んで泣いた。
いしいしんじの『ぶらんこ乗り』で夢見がちになって、
江國香織の『流しの下の骨』でその世界に憧れて・・・。
吉本ばななも好きだったな。
村上龍は『コインロッカーベイビーズ』
と『愛と幻想のファシズム』だけ好き。
そしてその頃出逢ったのが、
『ノルゥエイの森』。
当時付き合っていた彼の影響で読み始め、
(遅いスタート。)
早速、虜になった私。
「緑のような女の子に憧れます。」とメールを送ると、
「今日は緑のような女の子に憧れている子のために、
 緑色の文字で返事を書きます。」と返信が来たり。
10代の頃の甘い想い出。
それからずっとずっと大好きな村上春樹。
でもNYに来てから、
自然と本好きな人々が周りにいて、
日本の新刊を買おうものなら、
2倍近く払わなくちゃいけない現実の中、
自分たちの本をまわし合う週間がつき、
自分だけの偏った好みとは違った、
彼らの読書セレクションを少しずつ分けてもらいながら、
今まで興味のなかった作家や作品がオモシロかったり、
やっぱりつまらなかったりと、
日々新しい発見をするのが楽しい。
伊坂幸太郎の『オーデュボンの祈り』や『重力ピエロ』。
吉田修一の『最後の息子』。
恩田陸の『ユージニア』。
桐野夏生の『グロテスク』とほとんどの作品。
本屋さんで、絶対に自分では手に取らなかったであろう、
東野圭吾や乃波アサ。
(漫画感覚でさくさく読める気軽さが良い。)
男前な格好良さを持つ角田光代。
これは自分で買ったのだけど、
山崎ナオコーラの『人のセックスを笑うな』もオモシロかった。
自分一人だけのセレクトだけでは、
確実に出逢うことのなかった作品達。
とにかく、
日々、何かしら読み続ける日々。
そして、
大切な人たちから贈られる本達。
日本に一時帰国していた友達が
「お土産だよ。」とくれた『1Q84』の③。
私の綴ったkaeru no utaを読んだkinoさんが、
「世界観が近い気がします。」と贈ってくれた、
吉田篤弘さんの本、そして彼女のお気に入りの漫画達。
母からは、
高額な送料をかけて旬の文庫本達。
みなさん、本当にありがとうございます。
今は、
青豆の妊娠が発覚して、
ふかえりが天吾のアパートを出て行き、
自分自身を牛河の人生と重ね合わせているところです。

まだまだ書き足りないのだけど、
長くなったので続きはまた次回。

ps
昔、
三島由紀夫フリークだった母から薦められた一冊。
『午後の曳航』。
これ読み終わった後、鳥肌立ちました。
私の中の彼の最高傑作。

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